2022-01-01から1年間の記事一覧

④ 韓日米のフェミニズム

かつて、友人でもある在日の作家が「同胞は批判しない」と発言して大きな驚きを感じた。 気質としてこういうネポティズムというか身内贔屓というかが大嫌いな者としては理解不可能な発言だった。耳障りの好い言葉だけを聞いていて楽しいのだろうか。批判こそ…

③ 韓日米のフェミニズム

尹(ユン)健次(コンチャ)の『思想体験の交錯』2008 p399-403から始める。「女性国際戦犯法廷の判決はジェンダーの視点に貫かれたものだというとき、日本のジェンダー思想がポストコロニアリズム(脱植民地主義)と関わりをもつものであったことが分かる。ただ…

② 韓日米のフェミニズム

『風の丘を越えて 西便制』1993という映画があった。これは韓国ばかりか日本でも大ヒット。 それまで時代遅れの芸能とばかり見られていたパンソリがこれを契機に復活し、「テチャングム チャングムの誓い」の冒頭の音楽にも用いられたのは周知のことだ。 で…

① 韓日米のフェミニズム

『82年生まれ、キム・ジヨン』の大ヒットを見ても分かるように、また慰安婦への活動を見ても、韓国のフェミニズムは活発であった。ことに文在寅前大統領がフェミニズムの理解者であったこともあり、「女性家族省」の創生もあった。 ところが新大統領ユン ソ…

読む、時代を?  『こわい、こわい』と『禁じられた郷愁』の交差的読解

〈別の仕方で〉読むこと。アルチュセール、ランシエール、マシュレーによる『資本論を読む』(1965ちくま文庫版1996)p028-031によれば、マルクスが例えばスミスとリカードを読む読み方には「根本的に違う二つの読解原理」が働いていると。第一のそれはマル…

潜在的ミソジニー?

イ ヤンジの中編『刻』、これは傑作。ジョイスの『ユリシーズ』を換骨奪胎し、独自の工夫を凝らした名作だ。 だけどもあまり評判が芳しくない。そこで思い出すのが竹田青嗣の批評、彼が「在日の作品というより女性のそれだと感じる」という感想を述べていた…

フーコーのテクノロジー

フーコーがなぜ『性の歴史』を第3巻で大方向転換をしたか、うーん、色々考えますね。解釈の一つをnoteに書きました。 https://note.com/rliang/n/nbd5df76799ec

老いるということ

別に振り返るということではなく、今まで自分なりに読んできた書物のあれこれが脳中を去来し、何かを書こうと思えばそれらの再来到来に直面する。 で、自分なりにこれまでの読書を整理というか思考を再構成しておこうと書いたのが、『読む、時代を?』補遺、…

『読む、時代を?』補遺

先にアップしている黄英治『こわい、こわい』と原佑介『禁じられた郷愁』の交差的読解、の補遺を書きました。noteにアップしてあります。 https://note.com/rliang/n/n716732fee554

斎藤環の文章で気になっていたこと

斎藤環「生き延びるためのラカン」の一節。 「人間は、去勢されることで、つまりペニスの代わりにファルスを獲得することによって、この象徴界に参入する。(中略)女性に哲学者がいないっていうのも、どうやらこのあたりに関係がありそうな気がする。 (中…