④ 韓日米のフェミニズム

かつて、友人でもある在日の作家が「同胞は批判しない」と発言して大きな驚きを感じた。 気質としてこういうネポティズムというか身内贔屓というかが大嫌いな者としては理解不可能な発言だった。耳障りの好い言葉だけを聞いていて楽しいのだろうか。批判こそ…

③ 韓日米のフェミニズム

尹(ユン)健次(コンチャ)の『思想体験の交錯』2008 p399-403から始める。「女性国際戦犯法廷の判決はジェンダーの視点に貫かれたものだというとき、日本のジェンダー思想がポストコロニアリズム(脱植民地主義)と関わりをもつものであったことが分かる。ただ…

② 韓日米のフェミニズム

『風の丘を越えて 西便制』1993という映画があった。これは韓国ばかりか日本でも大ヒット。 それまで時代遅れの芸能とばかり見られていたパンソリがこれを契機に復活し、「テチャングム チャングムの誓い」の冒頭の音楽にも用いられたのは周知のことだ。 で…

① 韓日米のフェミニズム

『82年生まれ、キム・ジヨン』の大ヒットを見ても分かるように、また慰安婦への活動を見ても、韓国のフェミニズムは活発であった。ことに文在寅前大統領がフェミニズムの理解者であったこともあり、「女性家族省」の創生もあった。 ところが新大統領ユン ソ…

読む、時代を?  『こわい、こわい』と『禁じられた郷愁』の交差的読解

〈別の仕方で〉読むこと。アルチュセール、ランシエール、マシュレーによる『資本論を読む』(1965ちくま文庫版1996)p028-031によれば、マルクスが例えばスミスとリカードを読む読み方には「根本的に違う二つの読解原理」が働いていると。第一のそれはマル…

潜在的ミソジニー?

イ ヤンジの中編『刻』、これは傑作。ジョイスの『ユリシーズ』を換骨奪胎し、独自の工夫を凝らした名作だ。 だけどもあまり評判が芳しくない。そこで思い出すのが竹田青嗣の批評、彼が「在日の作品というより女性のそれだと感じる」という感想を述べていた…

フーコーのテクノロジー

フーコーがなぜ『性の歴史』を第3巻で大方向転換をしたか、うーん、色々考えますね。解釈の一つをnoteに書きました。 https://note.com/rliang/n/nbd5df76799ec

老いるということ

別に振り返るということではなく、今まで自分なりに読んできた書物のあれこれが脳中を去来し、何かを書こうと思えばそれらの再来到来に直面する。 で、自分なりにこれまでの読書を整理というか思考を再構成しておこうと書いたのが、『読む、時代を?』補遺、…

『読む、時代を?』補遺

先にアップしている黄英治『こわい、こわい』と原佑介『禁じられた郷愁』の交差的読解、の補遺を書きました。noteにアップしてあります。 https://note.com/rliang/n/n716732fee554

斎藤環の文章で気になっていたこと

斎藤環「生き延びるためのラカン」の一節。 「人間は、去勢されることで、つまりペニスの代わりにファルスを獲得することによって、この象徴界に参入する。(中略)女性に哲学者がいないっていうのも、どうやらこのあたりに関係がありそうな気がする。 (中…

宣言下の五輪

信じられない、未だに。 コロナがこれだけ蔓延し、毎日死者も出て、累計15,000人に垂んとするのに、大規模運動会だなんて。 凄い人の流れ、そのためにコロナが更に蔓延。 ワクチンはどうなってるのか、詳しい情報を政府は流さないから、しかとは分からないけ…

unlearn

インド系の文学者歴史学者哲学者ガヤトリ・スピヴァクの言ったunlearnとは、学び直すと訳せるけれども、学校教育はいわば必要悪のようなもので、その目的は産業社会にふさわしい人間の製造にある。 ゆえにその教育を受けた者が産業社会の価値観や社会体制を…

ネトウヨは教養がない?

レイシズム監視情報保管庫氏のブログから。 https://odd-hatch.hatenablog.com/entry/2021/03/23/153400 「他山の石」🤣🤣 ネトウヨ政治家、安倍晋三や橋下徹などはホンマに反知性主義だから、教養を軽んじるというより、頭から否定している。二階も例外でない。…

梁容子氏

2020年12月20日にご逝去。享年70歳(❓)ご冥福をお祈り致します。 彼女の人となりは 『どらまちっくにカーペンター』(ブレーンセンター、1989) 『在日する女性たち』(片州濁世の会、1992) またyoutube「木になる未来」。 80年代から指紋押捺反対運動の中…

どなたかご存じないかと

Melissa Wenderの書の「謝辞」で、下線部の方の漢字名が分かりません。 ご存じの方はぜひ、ご教示下さい。Wender氏は90年代に日本で調査されていました。 多くの人々の協力がなければ、ここまでの成果はなし得なかった。日本での研究過程では数え切れない…

東浩紀もフェミニスト嫌い?

東浩紀はその名著『存在論的、郵便的』1998でデリダの思想の輪郭を驚くほど見事に描き出している。その第二章「(1)バーバラ・ジョンソン「参照の枠組」について」という小見出しのある文章(p102-1054)で、以下のように述べている。「よく知られるように…

読む、時代を? (完全版)

読む、時代を? 『こわい、こわい』と『禁じられた郷愁』の交差的読解 書かれたテクストがその作者の〈意図〉なるものを超えて存在するということは現代ではもはや自明のことに属する。テクストは書かれたこと以上のことを語っているというポスト構造主義的…

自粛と補償はセットに決まっている

https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/【新型コロナ】世界の感染者が280万人突破%ef%bc%8dタイでは集団感染の報告/ar-BB13aiSn?ocid=spartanntp 早晩、日本でのコロナ死亡者が20万人というニュースが流れるかも それほど安倍政権のコロナ対策は無策…

軍事費を削ってコロナ対策、そして福祉に

blog.goo.ne.jp 以下のような記事。 軍事費を削ってコロナ対策に使うと、こんないいことがあるということ。 インターネットでいろいろな記事を目にするが、昨日のこの記事は、広く読んでほしいと思った。 中央日報日本語版の「韓国政府、借金せずに7兆ウォ…

Chungmoo Choi氏の出色の映画論 林權澤『西便制』と『族譜』

“Im Kwon-Taek the making of a Korean National Cinema”2002 『林權澤 韓国民族映画の創造』 Chapter 4 The Politics of Gender, Aestheticism and Cultural Nationalism in Sopyonje ant The Genealogy 「『西便制』と『族譜』におけるジェンダーの政治学…

"Sopyonje"( p60-66) in "The Remasculinization of Korean Cinema" by Kyung Hyun Kim

『西便制』(p60-66) 家/故郷への渇望が現実化しない時、その家/故郷を回復しようとするフェティッシュな欲望は路において暴力を生み出す。『西便制』は、辛酸を嘗めながらも自らの美学を完璧にするべく追いやられた強迫的な流浪音楽家を通して、民族や家…

ACKNOWLEDGMENT

The Remasculinization of Korean Cinema KYUNG HYUN KIM アップが前後していますが、ボチボチ全文訳に挑みたいと。 謝辞 この書ははじめ1990年代の中頃に企図されたーその時期は韓国の様々な新聞や雑誌が不健全な国内映画産業は数年の間にほとんど駆逐され…

『コリアンシネマの再男性主義化』

KYUNG HYUN KIM“THE REMASCULINIZATION OF KOREAN CINEMA” (DUKE UNIVERSITY PRESS DURHAM AND LONDON 2004) 第一章第二節 どこにも行き場がない:市民権を無くした道行く男たち(p52- 55) 朝鮮戦争(1950-53)休戦後7年にして作られた韓国で最も 記…

伊藤詩織インタビュー

BBCの伊藤詩織インタビュー、 日本語字幕付き 以下で見られます👍 https://www.liveleak.com/view?t=k6KSU_1530632496